歯磨きで血が出たり、
歯がぐらついたりする歯周病

歯周病とは?
歯周病の原因
プラーク約1mgの中には、2億の細菌がいると言われています。その細菌のなかには、グラム陰性嫌気性桿菌が潜んでいて、それが原因となって歯茎の炎症を起こします。初期の腫れは見過ごされやすく、状態がひどくなってから歯周病だと自覚する方がほとんどです。
健康な歯の歯肉溝は0.5mm~2mmです。ここにプラークがたまると、歯肉に炎症が起き、歯周ポケットを形成します。歯周病の初期段階では、歯肉炎が起こります。この炎症がひどくなり、歯周ポケットが4~5mmほどになると、歯を支える歯槽骨も吸収し始めます。この状態が歯周炎です。
炎症が更にひどくなると、歯を指で押すと若干ぐらぐらしてきます。炎症が進行して歯周ポケットが深くなると、歯槽骨の吸収も進行し、歯肉も全体的に赤みがひどくなり、出血も認められます。この状態まで進んでしまうと、再生療法を行わざるを得ません。最悪の場合は抜歯となる場合もあります。
歯周病には、プラークの蓄積以外に、間接的な原因もあります。それは、食生活の乱れ、喫煙、ストレスなどの生活習慣や、歯並びや咬み合わせの悪さ、歯ぎしりなどの口腔内トラブルです。これらの要因を抱えている方は、プラークを除去するとともに、改善をお勧めします。
歯周病は全身に影響を及ぼす
まず、一つ目の病気が糖尿病です。最近の研究では、歯周病が糖尿病を引き起こす原因になることが分かってきています。糖尿病にかかると、体がだるいだけでなく、網膜症や腎臓病など、全身の疾患に悩まされることになります。さらに体中の悪玉細菌と戦う機能が極端に低下しますから、 歯周病菌にも十分抵抗できず、口の中での増殖を許してしまいます。そのため、歯周病はどんどん悪くなっていきます。
そこで、歯周病を治療すれば糖尿病を改善したり、心筋梗塞のリスクを低減したりすることができます。実際、糖尿病の患者様に歯周病治療を行うと、糖尿病の症状が改善したり、歯周病治療に血中CRP濃度が下がることで、心筋梗塞のリスクが低下したりします。つまり歯周病予防により、生活習慣病の危険度を下げることができるのです。
その他に、妊娠中の女性も歯周病にかかりやすいと言われています。これは妊娠するとエストロゲンという女性ホルモンが増え、歯茎の溝にいる普段は害のない細菌が増えて炎症を引き起こすしやすいからです。つわりがあると歯みがきをするのも億劫になりますが、歯みがきに勝る予防法はありません。生まれてくる赤ちゃんのためにも気をつけましょう。
歯周病を早期に発見するために、検診を
歯周病の治療方法Method of treatment
基本治療で解決しない場合の
外科治療
プラークや歯石を取り除く外科治療
歯周ポケット掻爬
(そうは)術Curettage
歯周ポケット掻爬術は、歯周病の基本治療の延長線上にある外科治療です。歯周ポケットの深さが3〜5mm程度の場合に行われます。部分麻酔を行い、歯周病によって生じた歯と歯肉の溝(歯周ポケット)の中のプラーク・歯石を掻き出します。治療後、日々のブラッシングで口腔内を清潔に保てば、歯周ポケットが徐々に浅くなり、歯周病の改善が見込めるでしょう。
フラップ手術Flap
歯周ポケットが6mm以上の重症の患者様には、フラップ手術を行います。フラップ手術は部分麻酔を行なった後、歯肉を切って剥がし、中に溜まったプラークや歯石、膿などを除去する治療です。治療後は歯肉を縫い付け、回復を待ちます。ここまで歯周病が進行している場合、手術後も4〜5mmほど歯周ポケットが残ってしまい、歯周病の再発が懸念されます。
骨再生療法
しかし、再生する治療として、骨再生療法があります。骨再生療法は、フラップ手術でプラークや歯石を取り除き、清潔にした後に行われることがほとんどです。
組織再生誘導法
(GTR法)Guided tissue regeneration
GTR法は、プラーク・歯石などを除去した後、失われた歯周組織がバランスよく再生できるようにメンブレンと呼ばれる特殊な膜を使ってスペースを確保する治療です。
歯根膜、歯槽骨、歯肉などの歯周組織は再生にかかる時間がそれぞれ異なります。歯根膜・歯槽骨は再生が遅く、歯肉は再生が早いので、そのままにしておくと元来歯根膜や歯槽骨が再生すべき部分まで歯肉や上皮が覆ってしまい、歯根膜・歯槽骨の再生が妨げられてしまいます。そのため、失った歯根膜・歯槽骨がゆっくり再生できるように、メンブレンでスペースを確保しておく必要があるのです。歯周病によって、歯根膜や歯槽骨が広く失われた方に行われる治療方法です。
歯周組織再生用材料を
使った骨再生療法Emdogain
動物由来のタンパク質から作った特殊なゲルを使って、歯を支える骨である歯槽骨の再生を促す方法です。この方法では、歯肉を切り開いてプラーク・歯石を除去したあと、特殊なゲルで隙間を埋め、歯肉を縫合します。このゲルが歯周組織に吸収されながら歯槽骨の再生を促進するため、およそ数か月で骨が再生します。
トラフェルミンを
使った骨再生療法Trafmin
特殊な薬剤を使用して行われる骨再生療法です。トラフェルミンは床ずれの治療にも使用される薬品で、細胞を活性化させる役割があります。歯肉を切り開き、プラークや歯石を取り除いた後、歯槽骨が失われている部分に塗布し、歯肉を縫合すると、数か月で歯槽骨が再生し始めます。
遊離歯肉移植術(FGG)・
結合組織移植術(CTG)
多くの患者様に治療を
受けていただくためにTreatment for many patients
全身管理に必要な歯科用生体情報モニター
そこで、当院では歯科用生体情報モニターを導入し、外科治療中の患者様の血圧、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、心電図などをモニタリングし、全身状態を確認しながら治療を行なっています。